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皆さん、本日も閲覧ありがとうございます。
山本電卓と申します。
イラスト・漫画制作ソフトCLIP STUDIO PAINT(クリップスタジオペイント)には線画に便利な「ベクターレイヤー」を使用することができます。
今回はCLIP STUDIO PAINTのベクターレイヤーでできることを実際の線画で紹介していこうと思います。
それではよろしくお願いいたします
( `・∀・´)ノ!
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CLIP STUDIO PAINT EXCLIP STUDIO PAINT(クリスタ)のベクタレイヤーとは
参考記事
ベクターレイヤーは線をデータ化して編集できるクリスタの特徴的なレイヤー!
クリスタのベクターレイヤーとは
ベクタレイヤーとはクリスタで使用できるレイヤーの1種です。
レイヤーパレットにて立方体のアイコンが付いているものがベクターレイヤーになります。
このベクタレイヤー上に描画ツールを使用して線を描いていきます。
他のレイヤーとの大きな違いはベクタレイヤー上に描いた線は全てデータ化されるという点です。
そのため、ベクタレイヤー上に描かれた線の中心部分には線を構成する「制御点」が含まれるようになります。
※線を重ねて描画しますとその線の数だけ制御点が存在することになります。
この「制御点」があるため描画した後からでも様々な編集・修正作業を行うことができるのです。
「取り消し」で戻って描画をやり直す方法もありますが、「取り消し」は限度数がありますし、1度キャンバスを閉じると利用できなくなります。
それに対しベクタレイヤーの編集・修正はいつでも行うことができます。
また、通常のレイヤーでは変形などの編集作業を繰り返し行いますと劣化してくるのですが、ベクタレイヤーでは線をデータ化しているため全く劣化しない(ぼやけない)という特徴もあります。
このベクタレイヤーは他のイラストや漫画用のペイントソフトではほとんど搭載されていないため、クリスタの特徴的なレイヤーと言えるでしょう。
ベクターレイヤーは線画に特化したレイヤー!
上記のようにクリスタのベクターレイヤーは線をデータ化しているため、「塗りつぶし」や「グラデーション」といった面に対する塗り操作を行うことができません。
そのためベクターレイヤーは線画制作に特化したレイヤーと言えるでしょう。
※筆ツールで線を描くように塗る作業はベクタレイヤーでも行えます。
塗りつぶしなどの操作を行いたい場合は「ラスターレイヤー」を使用します。
※「ラスターレイヤー」は全ての描画ツールを使用できるいわゆる一般的なレイヤーです。
ベクタレイヤーで線画を描き、ラスターレイヤーで色を付けるといった方法が一般的ですね。
クリスタPRO・EXどちらでも使える!
ベクターレイヤーはクリスタの標準機能ですので最上位グレードのクリスタEXはもちろん、下位グレードのクリスタPROでも使用することができます◎
クリスタでベクタレイヤーを作成する方法
困った時は:クリスタのウィンドウ・アイコン・項目がない時の見つけ方!!
クリスタのレイヤーメニューからベクターレイヤーを作成する
CLIP STUDIO PAINTの画面上部から「レイヤー」→「新規レイヤー」→「ベクターレイヤー」と選択します。
※レイヤー上でサムネイル部分以外を右クリック、もしくはレイヤーパレット左上のメニューアイコン「≡」を押すことでも同じメニューを開くことができます。
すると以下のレイヤー名などを入力・設定するウィンドウが開きますので各設定を行った後に「OK」を押すことでレイヤーパレットにベクタレイヤーが作成されます。
※各設定はベクタレイヤー作成後でも自由に変更できます。
↓
クリスタのレイヤーパレットからベクターレイヤーを作成する
クリスタのレイヤーパレットの上部にある「新規ベクターレイヤー」のアイコンをタッチすることでベクタレイヤーを作成することができます。
この方法の場合はレイヤー名などを入力するウィンドウは開かずすぐにベクタレイヤーが作成されます。
ただし、[Alt(Option)]を押しながら「新規ベクターレイヤー」のアイコンを押すことでレイヤー名などを入力・設定するウィンドウを開くことができます。
ラスターレイヤーからベクターレイヤーへの変換も可能
クリスタでは描画済みのラスターレイヤーをベクターレイヤーに変換することもできます。
クリスタのレイヤーパレットにてラスターレイヤーを選択した状態でCLIP STUDIO PAINT画面上部から「レイヤー」→「レイヤーの変換」と選択しましょう。
すると以下のウィンドウが表示されます。
このウィンドウの「種類」の項目で「ベクターレイヤー」と選択し(必要であれば「ベクター設定」で詳細設定を行ってから)、「OK」を選択すると「ベクターレイヤー」に変換させることができます。
参考記事
クリスタ・レイヤーの変換でラスターからベクターに変換できる!!
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)における線画でのベクタレイヤーの使い方!
クリスタのベクター線を消しゴムツールで消す時の使い方
線画のはみ出し部分を一気に消せる!
クリスタにてベクターレイヤーを編集中に消しゴムツールを選択しますとツールプロパティに「ベクター消去」という項目を設定できるようになります。
ここで「ベクター消去」にチェックを入れて「交点まで」のアイコンを選択しておくことでベクターレイヤー上の線画においてはみ出し部分を線の交点まで一気に消してくれるようになります。
ベクタレイヤーにおける「消しゴムツール」使用例
ベクタレイヤーにおいて交点まで消える設定の消しゴムツールはあらゆる線が交差する箇所で使用できます。
そのため、髪の毛など線の勢いを失わずに描画したい場面でもはみ出しを気にせずに描画していくことができます。
その他のベクター消去
●「触れた部分」
「触れた部分」という名称ですが制御点の存在の関係上、消しゴムツールが触れた部分がキレイに消えるということはありません。
キレイに消したい場合は「ベクター消去」のチェックを外して使用しましょう。
※ただし消えるのは線の表示だけで制御点は残っています。
関連記事
クリスタでベクターレイヤー結合時に線が消える原因と解決策!!
●「線全体」
この設定でベクター線に触れますと「(制御点の繋がりによって)1本と認識される線」全てを消すことができるようになります。
線を消す時はベクター中心線を意識しよう!
クリスタのベクターレイヤー上に描いた線は制御点が通る中心部分に消しゴムツールが当たらないと消すことができません。
クリスタではベクタレイヤーの線の中心部分を「ベクター中心線」と呼び、設定によって表示させることができます。
CLIP STUDIO PAINT画面上部から「表示」→「ベクター中心線表示」→「選択中のレイヤーの中心線を表示」もしくは「すべてのベクターレイヤーの中心線を表示」を選択しましょう。
これでベクター中心線が表示されるようになります。
ベクターレイヤーの線が上手く消えない時はこのベクター中心線に消しゴムツールを当たるように操作しましょう。
参考記事
【補足】全てのレイヤーを消す対象にすることもできる
クリスタを含むデジタルペイントソフトでは、基本的に選択中のレイヤーのみ描画や消去などの編集が行えます。
しかし、クリスタの消しゴムツールはサブツール詳細ウィンドウにて「すべてのレイヤーを消去」にチェックを入れることでどのレイヤーを選択していても全てのレイヤーの描画部分を消すことができるようになります。
複数のベクターレイヤーによって表現された線画に対して一括で消しゴムツールを使用することができます。
参考記事
クリスタのベクターレイヤーで線幅を修正する時の使い方
本来ならば描画前に設定でブラシサイズを設定して、筆圧検知機能があれば筆圧も調整して線の太さを表現したり、少しずつ線を重ねて線の太さを調整するのですが、クリスタのベクターレイヤーでしたら描画した後で自由に線の幅(太さ)を修正・調整することができます。
「線幅修正ツール」を利用する
クリスタのツールパレットにて「線修正ツール」を選択し、サブツールパレット上部で「線修正」を選択、さらに下部の一覧から「線幅修正」を選択することで 線幅修正ツールを使用することができます。
この線幅修正ツールのツールプロパティにてベクター線の線幅(太さ)に対する修正方法を選択することができます。
また、サブツール詳細ウィンドウに隠れている項目もあります。
●「指定幅で太らせる/細らせる」
元の線の太さから入力した数値分の太さを追加/削除します。
●「指定倍に拡大/縮小」
元のベクター線の太さから入力した数値分の倍率に太く/細くします。
つまり元の太さ×入力した数値となり、1以上の数値は太く、1以下の数値は細くなります。
●「一定の太さにする」
ベクター線を入力した数値の太さに変えます。
●「制御点を追加して修正」
チェックを入れていることで制御点の少ない箇所でも制御点を追加して部分的な修正が可能になります。
また、下部の「滑らかにする範囲」を設定することで線幅を修正した部分とそうでない部分の繋がりを滑らかになるようにしてくれるようになります。
※数値が大きいほどより滑らかになります。
参考記事
設定を済ませ、線幅修正ツールでベクター線に当てますとその触れた部分の線をツールプロパティに設定した内容に線幅を修正・調整することができます。
また、サブツール詳細ウィンドウの「線全体に処理」にチェックを入れますと線幅修正ツールで触れた部分だけでなく、触れた線1本分全ての線幅を変更することができるようになります。
線幅を変更したい範囲が大きい場合にはこの設定を利用しましょう。
またこの性質により「線全体に処理」にチェックを入れますと「制御点を追加して修正」の機能は利用できなくなります。
「線幅修正ツール」使用例
●思っている太さで描けなかった箇所を修正したい場合
●光の当たり具合によって線の幅を変えたい場合
光がある方向を細く、陰側を太くすることで陰影を表現することができます。
●手前の線は太く奥の線は細くしたい場合
手前側を太くすることで奥行を表現することができます。
「ベクター線幅描き直しツール」を利用する
クリスタのツールパレットにて「線修正ツール」を選択し、サブツールパレット上部で「線修正」を選択、さらに下部の一覧から「ベクター線幅描き直し」を選択することで ベクター線幅描き直しツールを使用することができます。
このツールで触れた部分のベクター線をツールプロパティの「ブラシサイズ」で設定した線幅に変更することができます。
このツールでの線幅描き直しは1回の操作につき(制御点が繋がっている)1本だけに行う形になります。
さらに、変更するブラシサイズは筆圧の影響を与えることもできます。
関連記事
また、サブツール詳細ウィンドウで「画面上のサイズで指定」にチェックを入れますと、ブラシサイズが同じ数値でもキャンバスを拡大表示(ズームイン)するほど細く、縮小表示するほど太く描き直すようになります。
※少々ややこしいのであまり利用する機会はないかと思います。
「ベクター線幅描き直しツール」の使用例
触れた全てのベクター線の線幅を変更する線幅修正ツールとは異なり、ベクター線の太さを1本単位で変更したい場合に利用するとよいでしょう。
また、修正する線幅は設定した数値で固定されますので同じ線を何回も触って修正し直すこともできますね。
クリスタのベクターレイヤーで線の形を修正・調整する時の使い方
クリスタのベクターレイヤーは線画を描いた後でも微妙な線の曲がり具合などの線の表現を調整することができます。
「制御点ツール」を利用する
クリスタのツールパレットにて「線修正ツール」を選択し、サブツールパレット上部で「線修正」を選択、さらに下部の一覧から「制御点」を選択することで制御点ツールを使用することができます。
この制御点ツールはベクター線に含まれる制御点の編集が行えるツールです。
編集内容はツールプロパティにて設定することができます。
●「制御点の移動」
制御点をドラッグすることで移動させることができます。
●「制御点の追加」
ベクター線上でタッチした箇所に制御点を追加します。
●「制御点の削除」
制御点をタッチするとその制御点を削除することができます。
●「角の切り替え」
丸い制御点は曲線を、四角い制御点は角を意味し、線の表現が変わります。
制御点をタッチすることでこの表示を切り替えることができます。
●「線幅修正」
制御点上を右にドラッグすると制御点を中心に太く、左にドラッグすると制御点を中心に細く線の幅が変化します。
※「線幅修正ツール」もありますのであえてこちらを利用することは少ないかと思います。
●「濃度修正」
線にアンチエイリアスがある場合のみ、制御点上を右にドラッグすると制御点を中心に線の濃度が濃く、左にドラッグすると制御点を中心に線の濃度が薄く変化します。
●「線の切断」
ベクター線上でタッチするとその箇所で制御点による線の繋がりを切ることができます。
参考記事
「制御点ツール」の使用例
●線画の調整
制御点を移動させることで線のちょっとした歪みを調整することができます。
また、この時に「制御点の削除」で制御点の数を減らした方が線を滑らかにすることができます。
●角を尖らせる
角の描画をしたつもりでも角が丸くなっている時に「角の切り替え」で制御点を角に切り替えることで角を尖らせることができます。(思いっきり鋭くなるわけではありませんが…)
●消し残し・はみ出しの修正
ベクタレイヤーで消しゴムツールを使用しますと交点まで消すことができるのですが、たまにキレイに消されず、少しだけ膨らむように残ってしまうことがあります。
この部分の制御点を内側に軽く移動する、もしくは削除することで消し残しやはみ出しをなくすことができます。
●編集範囲の調整
「線の切断」でベクター線内の制御点の繋がりを切ることで編集の範囲を指定することができます。
●図形の作成
図形ツールを使用してベクターレイヤー上に作成した図形の制御点を編集することで特殊な図形を作成することができます。
また、「ベジェ曲線」では「通過点」「方向点」といった制御点で線を成形するのでこういった制御点を編集することで曲線の表現を修正・調整することもできます。
「ベクター線つまみツール」を利用する
クリスタのツールパレットにて「線修正ツール」を選択し、サブツールパレット上部で「線修正」を選択、さらに下部の一覧から「ベクター線つまみ」を選択することでベクター線つまみツールを使用することができます。
その名の通り、このツールでベクター線をドラッグすることで任意の範囲の線を移動・変形させることができます。
●「端の固定」
ベクター線を移動させる際の両端の位置に関する設定になります。
・「両端固定」:移動、変形させるベクター線の両端は固定されて動きません。
・「一方の端を固定」:移動、変形させる位置(ツールで触れる位置)から遠い方の端のみを固定します。
・「両端自由」:移動、変形させるベクター線の両端の固定は一切なくなります。
●「つまみ加減」
数値(インジケーター)が大きいほど移動、変形させる線の範囲が大きくなります。また、「筆圧」にチェックを入れることで筆圧検知機能のあるデバイスで操作している場合に筆圧によって「つまみ加減」の数値を変更してくれるようになります。
※細かい操作なら数値を小さく、全体的な操作なら数値を大きくしましょう。
●「効果範囲」
ベクター線つまみツールのカーソルの大きさ(ブラシサイズ)を変更できます。
●「すべてのレイヤーを対象」
チェックを入れますと別レイヤーのベクター線に触れるとそのレイヤーを自動で編集対象に切り替えてくれるようになります。
●「制御点を追加」
チェックを入れますとベクター線に触れた位置周辺に制御点を複数個追加して線がいびつな形になるのを防いでくれます。
※制御点の数は多すぎても編集しづらくなりますので上手くベクター線を移動、変形できる方は無理にチェックを入れる必要はないかなと思います。
●「線をつなぐ」
「端の固定」で「両端固定」以外を選択している時に利用できます。
チェックを入れますと移動、変形によってベクター線の端が別のベクター線の端にくっついた場合に制御点を繋げて1本の線として編集できるようになります。
※ペン先の形状・角度・色などの設定が同であるのが条件となります。
●「対称定規にスナップ」
チェックをいれますと対称定規を使用して描画しているベクター線を移動、変形した際に対称となる線も一緒に移動、変形されるようになります。
参考記事
「ベクター線つまみツール」使用例
●線画の全体的な調整
先述の制御点ツールでは制御点という細かい範囲での調整が可能でしたが、ベクター線つまみツールは逆に広い範囲での線画調整ができます。
●対称定規を利用した絵の修正
ベクター線つまみツールはベクター線を修正できるツールの中で唯一対称定規に対応しているツールになります。
そのため、対称定規を利用して描いた絵を修正することができます。
「ベクター線単純化ツール」を利用する
クリスタのツールパレットにて「線修正ツール」を選択し、サブツールパレット上部で「線修正」を選択、さらに下部の一覧から「ベクター線単純化」を選択することでベクター線単純化ツールを使用することができます。
その名の通り、このツールで触れた範囲のベクター線内の制御点の数を減らし、歪みの少ない線にすることができます。
ただし、制御点は線を形成するものですので設定で単純化を強くしたり、同じ箇所で何回も使用すると制御点の数が減り過ぎて線が真っ直ぐになってしまうので注意しましょう。
●「単純化」
チェックを入れることで触れた範囲の制御点を減らしてくれるようになります。
数値(インジケーター)が大きいほど多くの制御点を減らしてくれます。
※数値が大き過ぎると線が直線的になってしまいますので注意しましょう。
●「角を丸める」
「単純化」にチェックを入れている時に設定できます。
チェックを入れますと触れた範囲内の角の形状を丸くしてくれるようになります。
●「線全体に処理」
「単純化」にチェックを入れている時に設定できます。
チェックを入れますと触れた範囲だけでなく1本の線全体を単純化してくれるようになります。
●「曲線を変換」
「単純化」と「線全体に処理」の両方にチェックを入れている時に設定できます。
「折れ線」「スプライン」「2次ベジェ」「3次ベジェ」の4つから選択しておくことで触れたベクター線の制御点を選択している曲線用の制御点に変換してくれるようになります。
※曲線から別の曲線に変換することもできます。
●「線つなぎ」
チェックを入れますと隙間のある線に触れることで線を繋げてくれるようになります。
数値(インジケーター)が大きいほど離れた線でも繋げてくれるようになります。
●「属性の異なる線もつなぐ」
「線つなぎ」にチェックを入れている時に設定できます。
チェックを入れますと色・硬さ・厚さ・先端形状などが異なる線でも繋げてくれるようになります。
●「短い線の消去」
チェックを入れますと設定した数値より短い線がベクター線単純化で触れた範囲内にある場合にその線を消してくれるようになります。
参考記事
「ベクター線単純化」使用例
●線画の手ブレ修正
線画の歪みをなくすことができます。
●線を真っ直ぐにする
「単純化」の数値を大きくすることで曲がった線もある程度真っ直ぐにすることができます。
直線を手描き感を出して描画したい場合に利用できます。
※線幅も変化しますので線幅修正ツールなどで調整しましょう。
●制御点の整理
ベクター線単純化ツールの「単純化」が制御点を減らしてくれる機能です。
先にベクター線単純化ツールで制御点を減らしておくことで制御点ツールなどで制御点の編集をやりやすくできます。
●消し残しの消去
ベクターレイヤーで線を消しゴムツールで消す際にベクター線が複雑に交わっていますと細かい線が残ってしまう場合があります。
「単純化」のチェックを外し、「短い線の消去」だけチェックを入れている設定にすることで消し残しの細かい線を消すツールとして使用することができます。
参考記事
●線を繋げて修正範囲を広げる
見た目上は1本になっていても制御点は繋がっていない場合があります。
制御点が繋がっていないと修正も別々で行わなければならなくなりますが、「線つなぎ」機能で線を1本にすることで他の修正作業をやりやすくすることができます。
「ベクター線描き直しツール」を利用する
クリスタのツールパレットにて「線修正ツール」を選択し、サブツールパレット上部で「線修正」を選択、さらに下部の一覧から「ベクター線描き直し」を選択することでベクター線描き直しツールを使用することができます。
ベクター線上をなぞることでその線を利用した描き直しができます。
※ブラシサイズ設定がないため、カーソルが常に小さい点になってしまうのですが…
●「端の固定」
ベクター線を描き直す際の両端の位置に関する設定になります。
・「両端固定」:移動、変形させるベクター線の両端は固定されて動きません。
・「一方の端を固定」:移動、変形させる位置(ツールを使う位置)から遠い方の端のみを固定します。
・「両端自由」:移動、変形させるベクター線の両端の固定は一切なくなります。
●「すべてのレイヤーを対象」
チェックを入れますと別レイヤーのベクター線に触れるとそのレイヤーを自動で編集対象に切り替えてくれるようになります。
●「線をつなぐ」
「端の固定」で「両端固定」以外を選択している時に利用できます。
チェックを入れますと移動、変形によってベクター線の端が別のベクター線の端にくっついた場合に制御点を繋げて1本の線として編集できるようになります。
※ペン先の形状・角度・色などの設定が同であるのが条件となります。
●「単純化」
チェックを入れることで触れた範囲の制御点を減らしてくれるようになります。
数値(インジケーター)が大きいほど多くの制御点を減らしてくれます。
※数値が大き過ぎると線が直線的になってしまいますので注意しましょう。
「ベクター線描き直しツール」使用例
ベクター線つまみツールでは触れる線全てを動かしてしまいますが、ベクター線描き直しツールは線が複雑に描画されている箇所でも1本単位で描き直しができます。
クリスタのベクターレイヤー上の線を移動・変形する時の使い方
クリスタでは描いた絵を移動させたり変形させることができます。これはラスターレイヤーでも同様の操作が行えます。
しかしベクターレイヤー上の線は何度編集しても劣化しない(ぼやけない)という特徴がありますので自分が納得いくまで移動や変形を繰り返し行うことができます。
※一部の操作は下描きの時点でできるものもありますが、ベクターレイヤーでしたら後からの修正・変更もできるわけですね。
ベクター線を移動する
クリスタには「レイヤー移動ツール」があります。
移動させたい絵や線が描画されているレイヤーを選択中にこのレイヤー移動ツールでキャンバス上をドラッグすることでそのレイヤー全体を移動させることができます。
また、「選択範囲ツール」で絵の一部を範囲指定することでその部分のみを移動させることもできます。
この時、レイヤー移動ツールを選択範囲内で使用しましょう。
選択範囲外でレイヤー移動ツールを使用しますとレイヤー全体が移動してしまいます。
さらに、レイヤー移動ツールのツールプロパティ(サブツール詳細)にて「元画像を残す」にチェックを入れた状態で使用しますと移動する絵を複製することもできます。
※+[Shift]で水平・垂直移動をしながら複製することもできます。
この時レイヤー全体を移動する場合はレイヤーが複製され、選択範囲内を移動する場合は同じレイヤー上に複製されます。
ベクターレイヤーでの「レイヤー移動ツール」使用例
●絵の位置調整・変更
イラストや漫画においてキャラクターなどの位置を調整・変更することで絵の印象を変えることができます。
また、顔のパーツを少し移動させるだけでもそのキャラクターの印象を変えることができます。
●配置の修正
例えば線画完了後に左右の目の高さがズレていることに気付いた場合でも、ベクターレイヤーで制作した線画でしたら簡単に修正することができます。
●同じ絵の利用
物・背景や柄など、同じ絵を複数使用する絵を描く場合に[Alt(Option)]+レイヤー移動ツールを利用することで同じ絵を描く手間を省くことができます。
ベクター線を変形する
CLIP STUDIO PAINT画面上部から「編集」→「変形」と選択し、任意の変形方法を選択することで選択中のレイヤー上の絵を変形することができます。
また、「選択範囲ツール」で絵の一部を範囲指定することでその部分のみを変形させることもできます。
各変形方法に関しては以下の記事を参考にしていただければと思います。
さらにクリスタのベクターレイヤー上で変形を行いますと、変形時のツールプロパティに「ベクターの太さを変更」という項目が表示されます。
※この項目はベクター線を変形中にしか表示されません。
この項目にチェックを入れますと、拡大・縮小率に合わせてベクター線の太さを変更してくれるようになります。
※変形中にチェックのON・OFFの切り替えが可能です。
拡大変形する場合は太くなり、縮小変形する場合は細くなるわけですね。
ベクターレイヤーでの「変形」使用例
●バランスの修正・調整
ベクターレイヤーで線画まで済ませた後で、描いた絵やその一部が他の絵と比べてバランスがおかしい場合に変形によってサイズの修正が行えます。
また、顔のパーツなどのサイズや角度を調整することで印象を変えることもできます。
●角度の変更
変形時には回転も可能です。そのため、首や手などの角度を変えるといった変更も行えます。
●歪んだ箇所への描画
パース(奥行)を使用している面などに絵を描きたい場合、正面の絵を描いてから変形を行うことで簡単にパース面の絵を表現することができます。
※奥行の比率は自身の感覚で調整するしかないのですが…
また、メッシュ変形を利用すれば服の柄を身体の凹凸に合わせるように変形させるといったこともできます。
関連記事
●描きやすいサイズからの利用
人それぞれ、描きやすい絵のサイズというのがあるかと思います。しかし表現したい絵のサイズは様々です。
そんな時に変形を利用すれば自分の描きやすいサイズで絵を描き、その後で本来表現したいサイズに変形することができます。
参考記事
クリスタのベクタレイヤーでのオブジェクトツールの使い方
クリスタにおいて「オブジェクトツール」は様々な操作を行えるツールですが、ベクター線を扱う上でもとても便利なツールです。
クリスタにてベクター線をオブジェクトツールでタッチしますと1本とみなされる線を選択状態にし、この状態で様々な編集ができるようになります。
別のツールに変えたり、オブジェクトツールで何もない所をタッチすると選択状態を解除することができます。
また、[Shift]押しながら、もしくはツールプロパティの「選択の追加」の項目で「追加選択」のアイコンを選択している状態でベクター線にタッチすることで複数選択も可能です。
ベクター線の設定変更ができる!
ベクター線をオブジェクトツールで選択状態にしますとツールプロパティやサブツール詳細ウィンドウにその線の設定内容が、カラーパレットにその線の色が表示されます。
この状態でツールプロパティやサブツール詳細の内容やカラーパレットの色を変更しますと選択中のベクター線の設定や色を変更することができます。
線の形はそのままに、色やブラシサイズ、アンチエイリアスや濃度、ブラシ先端の内容など様々な変更ができるのです。
※色やアンチエイリアスを変更する場合はレイヤーの「表現色」に注意しましょう。
また、ベクター線を選択しない状態でツールプロパティやサブツール詳細ウィンドウの設定を変更しますと選択中のベクターレイヤー上の線全ての設定や色が変更されます。
ベクター線の移動・消去ができる!
ベクター線をオブジェクトツールで選択状態にしますと、周囲に「ハンドル」が表示されます。
このハンドルの外側にカーソルを持っていき、移動カーソル(十字矢印)に変わりましたらドラッグでの移動が可能になります。
※十字キー操作での移動も可能です。
また、ベクター線を選択状態でクリスタの「消去」を実行、もしくは[Back space][Delete]キーを押すことで選択状態のベクター線を消すこともできます。
ベクター線の変形ができる!
ベクター線をオブジェクトツールで選択状態にしますとツールプロパティに「変形方法」という項目が表示されます。
ここで各変形方法を選択しておきますとベクター線の周囲に表示されている「ハンドル」を操作してベクター線の変形が可能です。
※複数の変形方法が記載されている項目もあります。
また、「変形」の時と同じようにツールプロパティで「拡縮時に太さを変更」にチェックを入れますと拡大・縮小の比率に合わせて線の太さを変更してくれるようになります。
●制御点の移動
ベクター線を選択状態にしますと制御点が表示されるようになり、ドラッグでの移動ができます。
制御点ツールと異なり、オブジェクトツールで1回選択状態にしますとカーソルを離しても制御点をずっと表示し続けてくれますので操作がしやすいです。
●拡大・縮小
ハンドルの「●」部分をドラッグすることで拡大・縮小ができます。
この時は縦横比が固定されません。
[Shift]を押しながら操作することで縦横比を固定することができます。
●回転
ハンドルの上部にある「○」をドラッグすることで回転させることができます。
また、ハンドルの角で回転カーソル(曲線矢印)に変わった時でも回転が可能です。
[Shift]を押しながらドラッグすることで45度刻みでの回転も可能です。
※「回転」の記載がない変形方法でも上部に回転用のハンドル「○」が表示されている場合は回転が可能です。
●自由変形
ハンドルの「●」部分を単独でドラック移動させた変形が行えます。
●ゆがみ
ハンドルの「●」部分を単独で平行移動させた変形が行えます。
●平行ゆがみ
ハンドルの「1辺」を平行移動させた変形が行えます。
●遠近ゆがみ
ハンドル「●」部分を平行移動させると反対側の「●」も同じ長さ分近付いて遠近法のような変形が行えます。
ただし、本当の遠近法とは異なります。
参考記事
ベクター線のコピー・切り取り・貼り付けができる!
ベクター線をオブジェクトツールで選択状態にしますとそのベクター線の「コピー」「切り取り」「貼り付け」が行えます。
ベクター線の貼り付け位置は元のベクター線と同じ位置ですので「コピー→貼り付け」を行った後は同じベクター線が重なっている状態になっています。
オブジェクトツールで移動させるとちゃんとコピーされているのが分かります。
「切り取り→貼り付け」を行った場合も元の位置に貼り付けされます。
意味がないように思えますが、この作業を行うことで線の上下関係を入れ替えることができ、特にカラーの表現を変えることができます。
ベクタレイヤーでの「オブジェクトツール」使用例
●線画全体の編集
他のツールでは触れた範囲にしか編集できませんが、オブジェクトツールで線画全体を選択状態にすることができますので線画を全体的に太くする、色を変更するなどの編集ができます。
●一時変換を利用する修正
オブジェクトツールはクリスタの初期設定で[Ctrl(Command)]キーで一時変換ができます。
そのため、ペンツールで描画中に一時変換して線や制御点を移動させるといった修正ができます。
ツールを切り替える必要がないので効率的ですね。
●図形・マークの作成
クリスタの図形ツールでは3次ベジェ曲線の「通過点」「方向点」などの制御点を利用して線を表示させるものがあります。
ベクター線をオブジェクトツールで選択状態にしますと全ての制御点が表示されますので描画後でも形状の修正・調整が自由に行えます。
※オブジェクトツールで行えるのが制御点の移動のみです。制御点の追加・削除といった編集は先述の制御点ツールを利用しましょう。
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)におけるその他のベクターレイヤーの使い方!
漫画制作で「描き文字」をベクターレイヤーで制作する
上記のベクターレイヤーの使い方では主に絵(線画)の制作や修正・調整を紹介しましたが、クリスタでの漫画制作におきましては「描き文字」の制作でもベクタレイヤーを使うことで消しゴムツールの使用や描画後の修正・調整などを行うことができます。
クリスタの「デコレーションツール」をベクターレイヤーで使用する
クリスタにはなぞるだけで様々な模様などを描画できる「デコレーションツール」があります。
この中にはカケアミやガーゼといった漫画制作で利用できるものもあります。
クリスタのデコレーションツールは最初から搭載されているものもありますが、CLIP STUDIO ASSETSからダウンロード(無償・有償あり)することもできます。
【クリスタ】無料素材でもこんなに便利!ダウンロード方法と使い方を紹介します!
このデコレーションツールをベクターレイヤー上で使用する場合も制御点は存在します。
そのため、この制御点を編集することでデコレーションツールの表現を変更・調整することができます。
ガーゼの表現でしたら濃くし過ぎた箇所を制御点の移動・削除で薄くしたり
物を配列させる表現でしたらその位置を変更することができます。
※画像では制御点の数も減らしています。
クリスタのベクターレイヤーから定規を作成
クリスタではベクターレイヤー上の線から定規を作成することができます。
ベクターレイヤーを選択した状態でCLIP STUDIO PAINT画面上部から「レイヤー」→「定規・コマ枠」→「ベクターから定規」と選択しましょう。
これで選択中のベクターレイヤー上に描画されている線と同じ形の「定規」を作成することができ、レイヤーパレットにも選択したベクターレイヤーに定規が作成されたことを表すアイコンが表示されます。
クリスタは絵を描くソフトですのでわざわざベクターレイヤーから定規を作成する必要はないように思えますが、利用方法はいくつかあります。
●同じ絵を異なる線表現で描きたい時
『ベクター線を移動する』の項目で紹介したように、クリスタでは[Alt(Option)]+レイヤー移動ツールで複製移動が可能です。
しかし、全く同じ絵が並ぶのが好ましくない場合はベクター線から定規を作成して改めて描画することで同じ形の線画を異なる線で表現することができます。
●定規をメッシュ変形させたい時
クリスタ定規は変形させることができますが メッシュ変形のみ利用できません。
そこでベクター線をメッシュ変形させた後にそのベクター線から定規を作成することで定規をメッシュ変形させたと同じ作業を行うことができます。
クリスタのベクターレイヤーからSVGを書き出しできる!
クリスタではベクタレイヤーからSVG形式のデータを書き出しすることができます。
SVG形式を扱えるソフトで有名なのはAdobe Illustrator(イラストレーター)ですね。
ベクタレイヤーを選択している状態(複数選択可)でCLIP STUDIO PAINT画面上部から「ファイル」→「ベクター書き出し」と選択することで書き出しができます。
書き出ししたSVGデータをIllustratorなどで開くことでそのソフトでの編集が可能になるわけです。
詳しくは以下の記事を参考にしていただければと思います。
正直、同じソフトで最初から最後まで仕上げた方がスムーズなのですが、Illustrator専用のデータ形式(AI)はイラストの仕事などでもクライアントから最終データとして要望されることが多いです。
ですので最終データをAIで書き出すためにクリスタのベクターレイヤーをSVGに書き出ししてIllustratorで読み込み、最後の仕上げをしてAIデータで書き出しを行うといったことも必要になることがあるかと思います。
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)のベクターレイヤーを使う上での注意点…!
ベクターレイヤーでは使用できないクリスタツール
クリスタのベクターレイヤーは線画に特化したレイヤーであるため、いくつか使用できないツールがあります。
全く使うことのできないツールはポインターが使用不可のマークになります。
●塗りつぶしツール・グラデーションツール・等高線塗りツール
ベクターレイヤー上で塗りつぶしツールなどの面を塗るツールを使用することができません。
●図形ツールの塗り機能
クリスタの図形ツールではツールプロパティにて内側を塗りつぶす設定にすることができるのですが、ベクターレイヤーでは塗りつぶしができませんので塗りの設定をしていても枠だけの描画になります。
●色混ぜツール・ゆがみツール
色混ぜツールのサブツールである「色混ぜ」「ぼかし」「指先」「筆なじませ」「繊維にじみなじませ」「質感残しなじませ」はレイヤー上の色を混ぜたりぼかしたり伸ばしたりすることができるツールですが、ベクタレイヤー上で使用しますと各ツールのブラシ形状で描画するだけになり、本来の使い方ができません。
また、同じ色混ぜツールの「コピースタンプ」とVer.1.11.6から追加された「ゆがみツール」は使用することもできません。
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クリスタのコピースタンプでイラストの加工・修正が可能!!-意外と知らないクリスタ機能-
●ごみ取りツール
ごみ取りツールのサブツールである「ごみ取り」「塗り残し埋め」はラスターレイヤーで使用できるツールのため、ベクタレイヤーでは使用することができません。
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クリスタのベクターレイヤーは結合に注意…!
クリスタではレイヤー同士を結合させて1つにまとめることができます。
しかし、ベクターレイヤーとベクターレイヤー以外のレイヤーを結合しますとラスターレイヤーになってしまい、ベクターレイヤーの機能を失ってしまいます。
ベクターレイヤーのまま結合したい場合はベクターレイヤー同士を結合しましょう。
ベクタレイヤーを使いこなせばCLIP STUDIO PAINT(クリスタ)がより楽しくなる!
今回の記事のように、クリスタのベクターレイヤーには制作の手助けになる機能がたくさんあります。
先述の通り必ずベクターレイヤーで線画をやらなくてはいけないものではありませんし、ベクタレイヤーの全ての機能を使う必要はないですが、機能や仕様を知っておくだけでかなり制作の効率化につながると思います◎
正直「消しゴムツールで交点まで消す」だけでもかなり便利ですからね!
ベクターレイヤーで線画の負担を少なくして制作をより楽しいものにしましょう◎
それではここまで閲覧ありがとうございました!
お疲れ様でした!!
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