皆さん、本日も閲覧ありがとうございます。
山本電卓と申します。
今回はイラスト・漫画制作ソフトCLIP STUDIO PAINT(クリップスタジオペイント)の使用を「操作が難しそう」という理由で保留している方の為に漫画作品をCLIP STUDIO PAINTの起動から完成までの手順・工程を紹介したいと思います。
あくまで私個人の制作工程なのですが、CLIP STUDIO PAINTでの制作する感覚を知っていただければと思います。
それではよろしくお願いいたします
( `・∀・´)ノ!
▼イラスト・簡単な漫画なら【CLIP STUDIO PAINT PRO】
CLIP STUDIO PAINT PRO
▼本格的な漫画・アニメーション制作なら【CLIP STUDIO PAINT EX】
CLIP STUDIO PAINT EX
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)で漫画を描くまでの準備
漫画のネームを作成
まずは漫画の設計図といわれる「ネーム」を作成しましょう。
どういうコマ割りでどんなセリフでキャラクターが動いていくのかを描いていきます。
ここはアナログでいいでしょう。
クリスタ制作におけるデバイス・周辺機器の準備
私が使用するデバイス・周辺機器は以下の通りです。
●ノートパソコン(Windows 10/64bit)
●Wacom製 液晶タブレット(USB端子/HDMI端子)
●tab-mate controller(USB端子)
tab-mate controllerとはCLIP STUDIO TABMATEの旧モデルとなる片手デバイスです。
このtab-mate controllerがあるおかげでキャンバスの移動や拡大縮小、レイヤーの作成、上書き保存などの操作を片手で行うことができます。
もちろん、こういった片手デバイスがなくてもメニュー選択やキーボード操作で行うことができますよ。
CLIP STUDIO PAINTを起動
周辺機器の接続が完了しましたらパソコンの電源を入れてCLIP STUDIO PAINTを起動させます。
私の場合はパソコンの画面下(タスクバー)にCLIP STUDIO PAINT起動のアイコンを設置していますのでこのアイコンを1回タッチするだけでCLIP STUDIO PAINTが起動します。
【クリスタ】3つのPAINT直接起動方法ですぐに制作開始できる!!(Windows)
これでCLIP STUDIO PAINTが起動しました。
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)での漫画制作
困った時は:クリスタのウィンドウ・アイコン・項目がない時の見つけ方!!
クリスタでキャンバスを作成する
CLIP STUDIO PAINTを起動しただけではまだキャンバス(絵を描く紙)が作成されていません。
※初起動時など、前回に保存を行っていない場合は自動でキャンバスが作成されてことがあります。
ですのでまずはキャンバスを作成していきます。
CLIP STUDIO PAINT画面上部から「ファイル」→「新規」と選択することで新規作成ウィンドを表示させます。
↓
ここで作成したいキャンバスの設定を行います。
今回は以下の設定にしたいと思います。
表示が大きくかわっているのは「作品の用途」の選択による表示の切り替えの為です。
※新規作成ウィンドウはその幅によって画像(↑)のように2列表示になったり1列表示になったりします。
【作品の用途】
「すべてのコミック設定を表示」(左から4番目のアイコン)
【ファイル名】
後から変更できるのでそのまま
【プリセット】
自分でサイズ指定するので「カスタム」のままで
【単位】
「mm」
【キャンバス】
幅:「257(mm)」
高さ :「364(mm)」
解像度:モノクロにするので「600(dpi)」
基本表現色:「モノクロ」
基本線数:一般的な数値の「60」
【漫画原稿設定 / 製本(仕上がり)サイズ】
幅:「220(mm)」
高さ :「310(mm)」
裁ち落とし幅:「6(mm)」
【漫画原稿設定 / 基本枠(内枠)-サイズ指定-】
幅:「180(mm)」
高さ :「270(mm)」
縦オフセット:「0(mm)」
横オフセット:「0(mm)」
※「作品の用途」で左から2番目の「コミック」を選択しても漫画用のキャンバスは作成できますが、「すべてのコミック設定を表示」ですとより細かい設定ができます。
市販されているB4漫画原稿用紙のサイズと同じ数値にしています。
その為、【漫画原稿設定】の数値は「商業誌用」を選択するだけで自動で入力されます。
※微妙に数値が異なる可能性もありますのでその時は手動で入力し直して下さい。
また、今回は操作方法の紹介ですので1ページ漫画を制作していきたいと思います。
最後に右上の「OK」を押せばキャンバスが作成されます。
CLIP STUDIO PAINTの新規作成ウィンドウの細かい説明は以下の記事を参考にしていただければと思います。

クリスタで複数ページの漫画作品を描きたい場合
CLIP STUDIO PAINTで複数ページの漫画を描きたい場合は、同様に新規作成で1ページずつ制作しフォルダーでまとめて保存するというのも1つの方法です。
このサイトで掲載しているオリジナル漫画はこの方法で制作・保存しています。

特殊な機能を使用しなくて気軽に管理できますが、設定を変更するとなると1ページずつ設定しないといけないという弱点もあります。
CLIP STUDIO PAINT EXをお持ちでしたら「ページ管理機能」が利用でき、ページの設定をまとめて一括で管理することができます。
ページ管理機能を利用したい場合は新規作成ウィンドウの下部で「複数ぺージ」にチェックを入れて設定します。
細かい設定内容は以下の記事を参考にしていただければと思います。

また、「ページ管理機能」には見開きページを作成できるという利点もあります。
しかし、CLIP STUDIO PAINT PROでも自力で見開きページを作成することは可能です。

CLIP STUDIO PAINT PRO

CLIP STUDIO PAINT EX

【制作前の予備知識】絵はキャンバスではなく「レイヤー」に描いていく
上記の手順でキャンバスを作成したのですが、絵を描いていくにはまだ不十分です。
というのも、デジタル制作においてキャンバスは土台であり、実際に絵を描いていくのは「レイヤー」上になります。
「レイヤー」とは透明な紙をイメージしていただければ分かりやすいかと思います。
デジタルのイラストはこのレイヤーが何枚も重なって1枚の絵になります。
もちろん1枚のレイヤーに絵を描いてもいいのですが、絵を部分的に複数のレイヤーで分けて描くことで描画や修正がやりやすくなるという利点があります。
クリスタでキャンバスを作成すると既に1枚普通のレイヤー(ラスターレイヤー)が作成され、選択している状態になっています。

この「レイヤー」はデジタルで絵を描く上で何回も作成・使用するものですので覚えておいて下さい。
クリスタのキャンバスにコマ枠を作成する
人によって順番が異なるかもしれませんが私はまずコマ枠から作成していきます。
CLIP STUDIO PAINTには「コマ枠フォルダー」という漫画制作用のコマ枠を作ることができます。
このコマ枠フォルダーの中にレイヤーを作成し、絵を描くことで線がコマ枠から全くはみ出なくなるので、はみ出しを気にせず絵を描いていくことができるのです◎
※コマ枠からはみ出す絵を描くことももちろん可能です。
CLIP STUDIO PAINTのコマ枠フォルダーによって作られたコマ枠の線は消しゴムツールでは消えない為、先に作成した方が下描きも描きやすくなるので私は先にコマ枠を作成しています。
コマ枠の下描きを作成
まずはどのようなコマ割りにするのかをCLIP STUDIO PAINTのレイヤーに手描きで描いていきます。
ちょうどキャンバスを作成した時に作成されたラスターレイヤーがありますのでこちらを利用していきましょう。
任意のペン・色でネームに合ったコマ割りをラスターレイヤー上に描いていきます。
いわばコマ枠の下描きですね。
私の場合は長さを測らずに見た目の感覚でフリーハンドで線を引いていきます。
コマ枠フォルダーの作成
コマ枠の下描きができましたら早速コマ枠フォルダーを作成していきます。
CLIP STUDIO PAINT画面上部から「レイヤー」→「新規レイヤー」→「コマ枠フォルダー」と選択します。
すると「新規コマ枠フォルダー」のウィンドウが開きます。
ここで作成するコマ枠の設定をします。
とは言え設定するのはコマ枠の線の太さだけです。「名前」は特にこだわりがなければこのままでいいでしょう。
私は「0.50 mm」で設定しています。
「OK」を選択しますと原稿用紙の基本枠(内枠)に合わせて大きなコマ枠が1つ作成されます。
また、レイヤーパレットには「コマ枠フォルダー」が1つ作成されています。
※コマ枠の外側が青いのは「選択中のコマ枠レイヤーの非表示部分」を示しているだけです。完成データにはこの青い部分は表示されませんのでご安心を。
CLIP STUDIO PAINTのコマ割りはこの大きなコマ枠を分割することで行います。
そこで使用するのが「コマ枠カットツール」です。
クリスタの「コマ枠カットツール」は左端のツールパレットから「コマ枠ツール」を選択し、サブツールウィンドウにて「コマ枠カット」と選択することで使用することができます。
※「コマ作成ツール」が選択されている場合、ツールウィンドウには「コマ枠作成ツールのアイコン」が表示されています。
コマ枠カットツールを選択しましたら「ツールプロパティパレット」でコマ同士の間隔のサイズ設定などを行います。
「分割形状」と「分割方法」はいずれも左端のアイコンを選択した状態が基本的な設定といえるでしょう。
そして「環境設定の枠線間隔」にチェックを外した状態にしますとコマ同士の間隔を設定することができます。
※単位は新規作成時に設定した単位になります。今回の場合は「mm」です。
ここで「左右の間隔」「上下の間隔」を別々で指定できます。
私の場合はスマートフォンで読む場合も考慮してなるべくコマ枠が大きくなるように比較的小さめの数値で設定しています。
左右の間隔:1.00 mm
上下の間隔:5.00 mm
コマ枠カットツールの設定を確認しましたらコマ割りの下描きに合わせてコマの境目部分をなぞっていきます。
するとコマ枠が分割されていきます。
「分割形状」で「直線」を選択している為、フリーハンドでも真っ直ぐ分割することができます。
さらに、[Shift]を押しながら操作しますと水平・垂直方向にツールの動きを固定することができます。
これで分割が完了しました。
アナログでは十数分かかるコマ枠作成もCLIP STUDIO PAINTでは1分程度で出来てしまいます◎
レイヤーパレットを見ますと分割によってできたコマの数だけコマ枠フォルダーも分割されており、どんな順番で分割しても読んでいくコマ枠の順番通りに上から並んでいます。
※名前の数字は残念ながら分割した順番付けられ、しかも小さい数字が後ろの方に付いてしまいます。
また、表示されているコマ枠の形(レイヤーマスク)からもどのコマ枠フォルダーがどのコマ枠を表示しているかを知ることができます。
コマ枠の調整
コマ枠カットツールでコマ割りをした後でもコマ枠の位置や大きさの変更は簡単に行うことができます。
その場合は「オブジェクトツール」を使用します。
オブジェクトツールでコマ枠内もしくは枠線をタッチすることで選択状態にすることができ、上下左右、四隅のマーク(ハンドル)をドラッグすることでコマ枠の形を変更することができます。
ツールプロパティの「別のコマ枠を連動」で「連動する」を選択していればコマ枠同士の間隔を維持したままの変形が可能です。
ここで上のコマと下のコマを裁ち落としまで伸ばしてコマを大きくします。
これでコマ枠が完成しました!
コマ枠作成に関する記事


クリスタで漫画の下描きを描いていく
コマ枠ができましたら漫画の下描きを描いていきます。
下描きは先程コマ枠の下描きを描いたレイヤーを再利用します。
コマ枠の下描きはもう不要ですので消してしまいます。
レイヤーを選択した状態で[Delete]や[Back space]を押す、もしくはCLIP STUDIO PAINT画面上部から「編集」→「消去」と選択しますとレイヤーに描かれた線を全て消すことができます。
そしてこの(ラスター)レイヤーを「下描きレイヤー」に変換したいと思います。
方法は右下のレイヤーパレットの上部にある「下描きレイヤーに設定」のアイコンをタッチするだけです。
これだけで下描きレイヤーになります◎
青いラインと鉛筆のマークが下描きレイヤーになったという目印になります。
通常のラスターレイヤーに下描きを描いていってもいいのですが、下描きレイヤーに描かれた線はペン入れ時の線とは別物として認識してくれるようになり、便利ですので是非利用してみて下さい◎

あとは漫画の下描きをお好みのペンツールを使って描いていきましょう。
私の場合は「ミリペン」を使用して描いています。明るい(薄い)色でアタリを描き、細かい描画はブラシサイズを細くして濃い色で描いていきます。
また、「顔と目」や「キャラと背景」、「キャラAとキャラB」など、レイヤーやペンの色を分けて描くことで描画作業がやりやすくなりますのでどんどんレイヤーを活用しましょう。
下の画像では手前の猫と奥の人とを別のレイヤーで描いており、色も分けています。
例えば猫の絵を描き直す為に消しゴムツールを使う時も、レイヤーが別なので人の絵を全く消すことなく猫の絵だけを消すことができるのです。
レイヤーはレイヤーパレットの上部にあるアイコンをタッチするだけで簡単に追加の作成ができます。
※新しく作成したレイヤーは選択中のレイヤーの上に配置されます。
下描きレイヤーを作成したい場合はまずレイヤーを作成してから先程のように「下描きレイヤーに設定」のアイコンをタッチして変換しましょう。

キャンバスの表示を変えて描きやすい状態で描こう!
CLIP STUDIO PAINTではキャンバスの表示を回転させたり、拡大・縮小したり左右や上下を反転させることができます。
※キャンバスの表示ですので実際のイラストが変形されるわけではありません。
「左向きの顔は描きやすいけど右向きの顔は苦手」というような、利き手によって描きやすい角度というのがあると思いますので自分の描きやすい表示・傾きをどんどん利用して描いていきましょう◎
移動・変形で調整ができる!
絵を描いていて全体的なバランスを確認すると一部の絵の位置や大きさを修正したいという場面も出てくるかと思います。
そんな時でも絵の一部を指定して移動・変形させることができます◎
下の画像では、人の大きさが小さく、角度も浅かったので拡大変形し、傾きも変更しました。
上手く描けた絵を消さずに修正できるというわけですね。

「取り消し」「やり直し」も活用しよう!
CLIP STUDIO PAINT画面上部には「取り消し」「やり直し」のアイコンがあります。
「取り消し」はクリスタ上での作業を1つ前に戻すことができ、
「やり直し」は「取り消し」で戻した作業を再び進めて元に戻すことができます。
特に「取り消し」は1度行った作業を戻すことができますので制作をする上では非常に便利です◎
【注意!】定期的に「保存」をしよう!
作業中でも定期的に「保存」をしましょう。
めったに起こることではありませんが、不意にパソコンやCLIP STUDIO PAINTが閉じてしまった場合にそれまでの作業が消えてしまう可能性があります。
その為、定期的に(上書き)保存をするクセを付けましょう。
保存方法はいくつかありますのでやりやすい方法で行って下さい。
●CLIP STUDIO PAINT画面上部「ファイル」→「保存」と選択する
●CLIP STUDIO PAINT画面上部の「保存アイコン」を1回タッチする
●キーボードで [Ctrl(command)]+[S] と入力する
※TABMATEなどの片手デバイスに保存の操作を登録することもできます。
また、最初に保存を行うと作業データの保存場所やデータ名を設定するウィンドウが開きますので任意の場所・名前で保存しましょう。
※中央のファイル表示欄には選択中のデータ形式(ここではCLIP STUDIO形式)と同じデータしか表示されません。
2回目以降は保存の作業をするたびにCLIP STUDIO PAINTの画面のまま上書き保存されていきます。
※保存中、動作が1,2秒止まる場合があります。
ちなみに、ここで保存されるのはCLIP STUDIO形式(.clip)であり、CLIP STUDIO PAINTでのみ開いて作業ができるデータ形式になっています。
もし、クリスタでの作業を中断したい場合はこの(上書き)保存を行ってからCLIP STUDIO PAINTを閉じましょう。
※未保存のデータがある状態でCLIP STUDIO PAINTを閉じようとすると注意ウィンドウが表示されます。
作業を再開する時はこのCLIP STUDIO形式データを開くことでCLIP STUDIO PAINTと作業中のデータの両方が開き、続きから作業を行うことができます。

下描き完成!
これで下描きが出来上がりました。
今回は水色で描いたレイヤーと黄色で描いたレイヤーの2枚の下描きレイヤーを使用しました。
クリスタで漫画のセリフ入力とフキダシ制作
次にセリフとフキダシを作成していきます。
フキダシで絵が隠れてしまう部分を確認し、不要な描画を避ける為です。
この作業は「セリフを入力してからフキダシを描く」パターンと「フキダシを描いてからセリフを入力」するパターンと別れますが、私の場合はWEB上で公開する為にセリフの大きさを確認しながら作成したい(大きめに表示したい)ので「セリフを入力・サイズの調整をしてからフキダシを描く」パターンで作成していきます。
下描きの表示を薄くする
まずは作業を行いやすくする為に下描きの不透明度を下げて表示を薄くしていきます。
↓
テキストツールでセリフを入力する
セリフは「テキストツール」で入力していきます。
テキストツールを選択しますとツールプロパティでフォントやサイズを設定できます。

この時に選択できるフォントはCLIP STUDIO PAINTがインストールされているデバイスの中に入っているフォントになります。

テキストツールでキャンバス上の任意の場所をタッチすると入力カーソルが出ますのでこの状態で入力していきます。
最後に下部に表示されているチェックマークをタッチするか他の場所をタッチしますと入力完了になります。
([Shift]+[Enter]でも入力完了にできます。)
※テキストツールで再び文字部分をタッチすると再編集ができます。この時にサイズやフォントの変更も可能です。
また、テキストの上下左右・四隅のハンドルをドラッグすることで文字の大きさを変更することができ、矢印マークが表示される場所でドラッグすることで移動もできますので微調整が可能です。
また、入力が完了しますとレイヤーパレットに「テキストレイヤー」が作成されます。
セリフは特殊な演出でない限りどの線より上に表示させたいのでテキストレイヤーをドラッグして1番上に配置します。
また、CLIP STUDIO PAINT購入特典の「イワタアンチック体B」というフォントをダウンロードしますと、「!?」などの記号も使用することができます。


これで漫画のセリフの入力が完了しました。
フキダシを作成する
必要なセリフを入力しましたらフキダシを描いていきます。
CLIP STUDIO PAINTには「フキダシツール」というフキダシ作成用のツールがあるのですが、ここでは普通に描画していきます。
フキダシツールに関しては以下の記事を参考にしていただければと思います。

ではフキダシ用のレイヤーを作成します。
私は「ベクターレイヤー」を使用します。
ベクターレイヤーはCLIP STUDIO PAINT特有のレイヤーで、描画した線をデータ化してくれる為に線の修正が容易にできてしまうのです。

下描きの時と同様にレイヤーパレット上部のアイコンからベクターレイヤーを作成し、お好みのペンで吹き出しを描いていきます。
また、図形ツールを使えばキレイな円のフキダシも作ることができます。
ベクターレイヤーですので、「フキダシのしっぽ」も後から簡単に付け足すことができます。
フキダシ用のレイヤーは、コマ枠より上にフキダシを作りたい場合はコマ枠フォルダーより上に配置します。
コマ枠の中に収めたい場合はコマ枠フォルダーの中に配置しましょう。
フキダシの背景を塗りつぶす(必要な場合)
フキダシの線を描いただけでは後ろの絵が丸見えですのでフキダシの背景を白く塗りつぶしていきます。
(「フキダシツール」を使用すれば背景も自動で塗りつぶしてくれるのですが…)
フキダシ用のレイヤーの下に塗りつぶし用のラスターレイヤーを作成しましょう。
※ベクターレイヤーは塗りつぶしができません。
ラスターレイヤーを作成すればあとは「塗りつぶしツール」で白色を塗っていくだけです。
この時、セリフは「目のマーク」を消して非表示にしておきましょう。
下描きレイヤーの線は無視してくれるのでしっかりフキダシ全体を塗りつぶしてくれます。
ただし、コマ枠の上にくるフキダシの背景はペンなどで直接塗ってコマ枠を隠していきます。
※「参照レイヤー」を利用する方法もありますがここでは割愛させていただきます。
コマ枠の上にくるフキダシは背景が必要
フキダシ内に入る線を自分で消しゴムツールを使用して消す場合はフキダシの背景を作成する必要はありません。
しかし、コマ枠は基本的に消しゴムツールでは消すことができませんのでコマ枠より上にくるフキダシの場合はコマ枠を見えなくするために背景が必要になります。
クリスタで漫画のペン入れしていく
セリフ・フキダシの作成が終わりましたらペン入れの作業に入ります。
先程下描きを薄く表示してますので、ペン入れの線が分かりやすくなり、間違えて下描きレイヤーにペン入れしてしまうというミスにも気付きやすくなっています。

また、フキダシの白背景がペン入れの際に気になる場合はレイヤーパレットの「目のマーク」を消して一時的に非表示にしましょう。
ではペン入れ用のレイヤーを作成していきます。
ペン入れでも「ベクターレイヤー」が便利ですので使用していきます。
まずはレイヤーパレットでペン入れを行うコマのコマ枠フォルダーを選択し、レイヤーパレット上部の「新規ベクターレイヤーのアイコン」をタッチしますとコマ枠フォルダーの中にベクターレイヤーが作成されます。
このコマ枠フォルダー内に作成したレイヤー上に絵を描くことでコマ枠内しか線が表示されなくなるという仕組みです。
ベクターレイヤーを作成しましたら再びお好みのペン・ブラシサイズでペン入れを行っていきましょう。
今回、線画は「Gペン」で描いていきたいと思います。
ベクターレイヤーですので線のはみ出しも「消しゴムツール」で線に触るだけで簡単に消してくれます◎
ペン入れと修正が同時にできるという訳ですね◎
また、ここでもレイヤーを分けることで描画をしやすくすることができます。
「効果線」もレイヤーを分けて描いていけばいいでしょう。
こういったペン入れ作業を各コマ行っていきます。
クリスタ便利機能「自動選択ツール」
「自動選択ツール」で任意の場所をタッチしますとそ場所から線で囲まれた範囲に選択範囲を作成します。
この選択範囲を作成しますとこの範囲しか描画などの影響が出なくなります。
下の画像ではキャラの外側部分に選択範囲を作成し、効果線がキャラと重ならないように描画しています。

クリスタ便利機能「定規ツール」
CLIP STUDIO PAINTにはペンや図形ツールの動きを固定する定規ツールがあります。
アナログ制作でしたら定規がズレないように注意しながら線引かなければいけませんが、CLIP STUDIO PAINTでは様々な種類の定規を配置するだけで簡単に漫画表現で使用する効果線などを引くことができます。
下の画像では漫画の集中線を描くために「特殊定規(放射線)」を使っています。
↑集中線の焦点となる位置に定規を配置するだけで描いた線が焦点に向かってくれるようになっているのです。

ペン入れ完了
漫画のペン入れが終わり、こんな感じになりました。
クリスタで漫画を仕上げていく
ペン入れが終わればあとは仕上げ作業です。
仕上がりを確認する為、下描きは非表示にして、セリフ・フキダシ背景は表示していきます。
下描きを消すという作業も一瞬で終わりますね◎
↓
ベタ塗り
黒く塗りつぶす箇所をベタ塗りしていきます。
私の場合は1ページ分のベタ塗りを1つのレイヤーで行いますのでラスターレイヤーを1つ作成し、レイヤーパレットの下部に配置します。
※レイヤーの場所はお好みの位置で構いません。ただし、コマ枠フォルダーの中に配置しますとそのコマ枠内しかベタ塗りが表示されませんので注意しましょう。
あとは「塗りつぶしツール」を選択し、描画色を黒色にしてベタ塗りの場所をタッチしていくだけで簡単にベタ塗りが完了します。
トーン貼り
制作する漫画にトーンが必要な場合はトーン貼り作業を行っていきます。
網点トーンでしたらCLIP STUDIO PAINTの機能だけで貼ることができます◎
まずは「自動選択ツール」でトーンを貼りたい場所にタッチして「選択範囲」を作成します。
選択範囲を作成しますと「選択範囲ランチャー」が表示されますのでその中から「新規トーン」のアイコンをタッチします。
すると「簡易トーン設定」ウィンドウが表示されます。
ここの「濃度」の数値を変更することでお好みの濃度のトーンを作成できます。
最後に「OK」を選択しますと選択範囲の部分にトーンが貼られます。
クリスタでトーンを貼りますとレイヤーパレットに「トーンレイヤー」が作成されています。
このトーンレイヤーのマスク部分を選択している状態で別の箇所を塗りつぶしツールでタッチすると同じ濃度・線数のトーンを貼ることができます。
トーン貼りもあっという間に終わってしまいます◎
※この時の描画色は何色を選択していても大丈夫です◎
別の濃度のトーンを貼りたい場合は自動選択ツールで選択範囲を作成するところから同じ手順を踏めばいいでしょう。
私はこのトーンレイヤーをベタ塗り用のレイヤーの上に配置します。
今回は「10%(陰)」「20%(猫のブチ)」「40%(道着)」の3種類のトーンを使用しました。
また、トーンレイヤーに関しての詳細は以下の記事を参考にしていただければと思います。

描き文字の描画
最後に「ドン!」や「がやがや」といった漫画特有の「描き文字」を描いていきます。
こちらも「ベクターレイヤー」を新しく作成して描いてきます。
レイヤーの配置場所はどの絵や線より上もしくは下に表示させるかで変わってきます。
今回はコマ枠より上に表示させたいので「フキダシの背景用レイヤー」とコマ枠フォルダーの間に配置します。
レイヤーの配置が終われば描き文字を描いていきます。
※再び下描きを表示させて作業します。
「描き文字」を描画ツールで描く場合
CLIP STUDIO PAINTには通常のペンの他に筆やサインペンといったツールがあります。
お好みの線が描けるツールで文字を描いていきましょう。
※筆ツールなどのグレー部分(ぼかし)が出るツールはモノクロのキャンバスでは効果が出ませんので注意しましょう。
最後にクリスタの「レイヤープロパティ」にて「境界効果」のアイコンをタッチしすればそのレイヤー上に描いた線の周りに「フチ」ができ、描き文字を際立たせることができます。
「境界効果」をONにすれば「フチの太さ」を設定できるようになりますのでお好みの太さにしましょう。
※「フチの色」は漫画ですので白のままでいいですね。

また、描画ツールはCLIP STUDIO ASSETSからダウンロードして増やすこともできます。描き文字用に作られたツールもありますよ◎※無償・有償あり

「描き文字」の中をベタ塗りやトーン貼りをする場合
まず描き文字の枠をお好みのツールで描きます。(境界効果もONにします)
その後、その下にラスターレイヤーを作成し、ペンを使って中を白色に塗っていきます。
※「参照レイヤー」を利用して塗りつぶす方法もありますが、今回は割愛させていただきます。
あとは描き文字の中をベタ塗りするかトーンを貼るかをすれば完成です。
クリスタ制作の漫画原稿が完成!
これで漫画原稿が完成しました!
「(上書き)保存」を忘れないようにしましょう。
今回クリスタで描いた漫画のレイヤー数
今回CLIP STUDIO PAINTで制作した漫画1ページで使用したレイヤーは以下の通りです。
レイヤーの枚数や配置は人によって大きく変わりますのであくまで参考程度にみていただければと思います。
今回クリスタで描いた漫画の容量
今回CLIP STUDIO PAINTで描いた漫画のCLIP STUDIO形式のデータ容量は 18MBでした。

CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)で制作した漫画を公開する
以下の書き出しの説明は簡易的なものになります。
細かい書き出しの設定内容は以下の記事を参考にしていただければと思います。

クリスタで制作データの書き出し
CLIP STUDIO PAINTで制作した漫画作品のデータはCLIP STUDIO形式ですのでそのままではSNSや投稿サイトに漫画を上げて公開したり、印刷所に提出や漫画賞に投稿したりすることができません。
その為、「書き出し」という作業が必要になってきます。
漫画のデータを開きましたら、CLIP STUDIO PAINT画面上部から「ファイル」→「画像を統合して書き出し」と選択し、書き出ししたいデータ形式を選択します。
【WEB上で公開する】
投稿サイトやSNSなどで作品を公開する場合はJPEGやPNGで書き出しするのが一般的です。
【印刷する】
自身で作品を印刷する、もしくは製本の為に印刷所にデータを提出する場合はTIFFやPSDで書き出しするのが一般的です。(自身で印刷する場合はJPEGも選択肢に入ります)
※印刷所に提出する場合はその印刷所の規定に合わせましょう
【漫画賞に投稿する】
特に指定している所は少ない印象です。TIFFやPSDを推奨している所が多いですね。
データ形式の詳細は以下の記事を参考にしていただければと思います。

データ形式を選択しますと書き出しするデータの保存場所とデータ名を決める画面が表示されますので任意の場所を指定し、データ名を入力して下部の「保存」を選択します。
※データ名はCLIP STUDIO形式のデータ名と同じ名前が既に入力された状態になっています。変更したい場合は改めてデータ名を入力しましょう。
※データ名は後から自由に変更できます。
※中央のファイル表示欄には選択中のデータ形式(画像ではPNG形式)と同じデータしか表示されません。
「保存」を選択しますと書き出し内容を設定するウィンドウが表示されます。
目的に応じて設定を行いましょう。
今回の漫画の書き出し設定内容(WEB公開用)
今回私がCLIP STUDIO PAINTで描いた漫画の書き出し設定はSNSで公開する為、「PNG」で以下のように設定しました。
【出力イメージ】は「テキスト」にチェック
テキストツールでセリフを入れているので「テキスト」にチェックを入れていないとセリフを表示してくれなくなります。
【出力範囲】「トンボの裁ち落としまで」
漫画原稿において必要な場所は裁ち落としまでの範囲ですので「ページ全体」を選択する必要はありません。
今回はトンボの裁ち落とし幅の外側まで表示できる「トンボの裁ち落としまで」を選択しました。
ただし、原稿の周りの余白も表示させたい場合は「ページ全体」を選択するというのもアリだと思います。
【表現色】「グレースケール」
トーンをそのまま表示させた画像データをWEB上で公開した場合、トーンが綺麗に表示されない可能性がでてきます。
その為、トーン部分をグレーに変換して書き出しするのがWEB上で漫画を公開するのによいのではと感じています。
【出力サイズ】「拡縮率」を「50(%)」
漫画原稿データをそのままのサイズで書き出ししますとかなり大きなデータになってしまします。
データが大きくなりますと表示が遅くなったり、そもそも規定サイズオーバーで投稿できないといったことにもなりかねません。
その為、「拡縮率」の数値を下げて縮小して書き出しするのがおすすめです。
今回は「50(%)」で書き出ししています。
「高さ」「幅」がそれぞれ半分のサイズになります。
【拡大縮小時の処理】「コミック向き:品質優先」
漫画原稿の書き出しですので「コミック向き」を選択します。
「イラスト向き」で書き出ししたデータでも画質が悪くなるといったことはこちらでは確認できませんでしたのでそこまで神経質になる項目ではないかもしれませんが、「コミック向き」にしておいた方が安心できますね。
その他のクリスタ書き出し設定
印刷所に提出する場合
製本目的で印刷所に原稿データを提出する場合はその印刷所のサイトなどに掲載されている規定に合わせて書き出しするのが基本です。
この「規定」も印刷所によって違いがあります。
例えば、印刷時の目印になる「トンボ」を表示するというのは必須事項と思っていたのですが、トンボを非表示で指示している印刷所もあるようで、共通の設定内容を示すのは難しくなっています。
とはいえ、「拡大縮小時の処理」は「コミック向き」で問題ないかと思います。
また、トーンをしっかり表示したい場合は「レイヤーに付与されたトーン効果を有効にする」にチェックを入れるのを忘れないようにしましょう。
親切な印刷所でしたらCLIP STUDIO PAINTでの書き出し内容を記載してくれている所もありますよ。
漫画賞に投稿する場合
各漫画賞の「応募のきまり」などでは書き出し設定まで細かく指定されていません。
「テキスト」の表示を忘れるなど、作品の内容が分からない場合を除いては書き出し内容が審査結果に影響を与えることはほぼないかと思います。
ですので最低限作品の内容が伝わるデータになるように書き出ししましょう。
個人的には出力イメージの「テキスト」「トンボ」にはチェックを入れ、出力範囲は「ページ全体」、表現色は制作データと同じ(モノクロなら「レイヤーに付与されたトーン効果を有効にする」にもチェックを入れてトーンを表示させるる)、出力サイズは「100%」で書き出しをするのがいいのではないかと考えています。
※ページの順番は「manga01」「manga02」など、データ名で示します。
このデータを印刷すれば普通のアナログ原稿と同じ内容になるような設定ですね。
もし本誌に掲載となり、投稿したデータに不備がある場合は編集部から再提出を要求されることになるかと思います。
CLIP STUDIO PAINTの制作データさえあれば何回でも書き出しができますので結果が出るまで制作データは消さないで残しておきましょう。
関連記事

「OK」を選択して漫画データを書き出し!
CLIP STUDIO PAINTの書き出し設定が完了しましたら右上の「OK」を選択します。
「出力時にレンダリング結果をプレビューする」にチェックを入れている場合はプレビュー画面が表示されます。
このプレビューの表示は多少荒くなっていますが、書き出ししたデータはちゃんと表示されますのでご安心を。
問題なければ「OK」を選択しましょう。書き出しが実行されます。
漫画原稿のデータ容量は大きいので少々時間がかかります。その場合は以下の画像のようにウィンドウが表示されますのでしばらく待ちましょう。
これで書き出しは完了です◎
書き出し実行後、特に完了の表示は出ません。指定した保存先のフォルダを見ば選択したデータ形式で書き出しデータが作成されているのが確認できます。
今回の書き出したPNGの画像データの容量は243 KBでした。
※表示されている「大きさ」は単位が「px」になっています。
クリスタで制作した漫画を公開しよう!(WEB公開する場合)
書き出しによって画像データができましたら漫画作品を公開していきましょう◎
この時、漫画の画像データの容量が公開するサイトやSNSの規定容量を超えていないかも確認しておきましょう。
パソコンで制作をした漫画をスマートフォンで公開したい場合はメールなどで画像データを送ればいいですね。
クリスタの制作データがあればいつでも漫画を編集できる!
漫画が完成した後でも、制作用データ(.clip)をCLIP STUDIO PAINTで開けばいつでも再編集が可能です。
モノクロで作成した漫画をカラー漫画に変えるのも簡単にできます◎
また、気になる所がある場合はその部分だけを描き直したり、位置だけを変える、セリフを変えるといった再修正も簡単にできます。
複数ページ作品全体の設定などを変更する場合はクリスタEXの「ページ管理機能」や「ストーリーエディター」が便利ですね。
参考記事:クリスタPROとEXの機能の違い全29項目を紹介します!!
CLIP STUDIO PAINT EX

今回CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)で制作した漫画
今回私がCLIP STUDIO PAINTで制作した1ぺージのモノクロ漫画はこんな感じになりました。
かなりシンプルな作品になりましたが、CLIP STUDIO PAINTでの漫画制作の手順・工程を少しでも分かっていただけたでしょうか。
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)での漫画制作は効率が上がる!
CLIP STUDIO PAINTでの漫画制作を私なりの手順ですが紹介させていただきました。
複数の作業工程を経ての完成でしたので長文になってしまったので「大変そう」「難しそう」という印象になってしまうかもしれませんが、そもそも漫画制作自体が作業工程の多い作業ですので、覚えてしまえばかなりの効率アップに繋がります!
「ベクターレイヤー」によって線画の修正が簡単にできますし、広範囲のベタ塗りやトーン貼りも一瞬で終わってしまいます◎
また、トーンも購入する手間や費用もかからないというのも助かりますね。
漫画制作はかなり長時間の作業になりますので効率アップ・時間短縮は作品の完成に近付くことができますし、モチベーションの維持にも繋がります。
また、以下の記事も合わせて読んでいただければなと思います。


CLIP STUDIO PAINTでの制作も悪くないなぁと感じた方は是非ご検討を。
それではここまで閲覧ありがとうございました!
お疲れ様でした!!
▼イラスト・簡単な漫画なら【CLIP STUDIO PAINT PRO】
CLIP STUDIO PAINT PRO
▼本格的な漫画・アニメーション制作なら【CLIP STUDIO PAINT EX】
CLIP STUDIO PAINT EX
▼動画視聴型お絵描き講座【Palmie(パルミー)】