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皆さん、本日も閲覧ありがとうございます。
山本電卓と申します。
今回はイラスト・漫画制作ソフトCLIP STUDIO PAINT(クリップスタジオペイント)の「パース定規」を利用して背景を作成する方法を紹介させていただきます。
このパース定規がアナログ制作に比べるとかなり便利なのです!
それではよろしくお願いいたします
( `・∀・´)ノ!
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CLIP STUDIO PAINT EXイラスト・漫画制作における「パース」とは
「パース」の基礎知識
「パース」とはイラスト・漫画制作において「遠近法」、特に「透視図法」を指します。
遠くのものは小さく、近くのものは大きく見えますよね。
それを絵で描く場合のルール、ガイド線となります。
このパースのルールに従って描くことで違和感のない背景を表現することができるのです。
「パース」を扱う上で知っておくべきワード
アイレベル
漫画において、コマ=「カメラで映している画面」と考えた時のそのカメラの高さをアイレベルといいます。
背景やその中に立つキャラクターの高さを決める基準になる重要なガイド線です。
アイレベルに関しては以下の記事で詳しく紹介させていただいてますのでそちらを参考にしてみて下さい◎
漫画は楽しい!アイレベルでキャラや背景の配置を決めよう!with クリスタ
消失点
遠近法で背景を描く際、小さくなっていく線が集まる点です。
つまり、その背景内にある物が向いている方向の最終地点ですね。
実際はそれらの物の辺を伸ばしていったとしても辺同士が交わる・重なることはありませんので、これは絵を描く上で見た目上の基準点ということになりますね。
この「消失点」は「アイレベル」上に配置されることが多いです。
また、「消失点」の数に応じてそれぞれ図法の名称があります。
●一点透視図法
1つの「消失点」で描く透視図法です。
●二点透視図法
2つの「消失点」で描く透視図法です。
●三点透視図法
3つの「消失点」で描く透視図法です。
消失点の1つはアイレベル外になります。
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)の「パース定規」とは
詳しい操作方法は後述しますが、クリスタのパース定規はアイレベルとそれに垂直に重なるガイド線、さらに消失点(複数の場合有り)とそこから伸びたガイド線で成り立つ定規です。
このパース定規が置かれたレイヤーでは、描画ツールの方向をそのパースに合わせた方向、つまり消失点のある方向に固定(スナップ)させることができます。
このスナップは図形ツールでも利用できます。
また、クリスタのパース定規ではどんなに遠くに消失点があろうともずれることなく、線を引くことができるのです!
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)のパース定規を利用して漫画の背景を描こう!
困った時は:クリスタのウィンドウ・アイコン・項目がない時の見つけ方!!
①クリスタのパース定規の作成方法
クリスタのパース定規を作成する方法は2つあります。
クリスタのレイヤーメニューから作成する
CLIP STUDIO PAINT画面上部から「レイヤー」→「定規・コマ枠」→「パース定規の作成」と選択します。
すると以下のウィンドウが表示されますので作成したい透視図法を選択して「OK」を選択しましょう。
「レイヤーを新規作成」にチェックを入れますとパース定規が入った「ラスターレイヤー」が新規で作成されます。
チェックを外すと選択中のレイヤーにパース定規が作成されます。
これでパース定規が出ました。
(画像は1点透視のパース定規です。)
クリスタのツールを使って作成する
クリスタの定規ツールのサブツールウィンドウから「パース定規」を選択します。
さらにツールプロパティの「処理内容」の項目で「消失点の追加」を選択している状態にしましょう。
上記の設定で下描きの背景(建物)の角度に合わせてドラッグし、ガイド線を1本表示させます。
さらに下描きの背景(建物)の中で先程とは別の角度に合わせてもう1回ドラッグして2本目のガイド線を表示させます。
すると表示させた2本のガイド線の交点に消失点、さらにその消失点から水平方向に伸びたガイド線(アイレベル)とその水平のガイド線に垂直に交わるガイド線が作成され、パース定規ができあがります。
「レイヤーメニュー」からパース定規を出す場合は後から下描きに合う位置に配置し直さないといけませんが、「ツール」を使ってパース定規を出す場合は下書きに合わせて出すことができます。
ちなみにパース定規を使う時にツールプロパティの「編集レイヤーに作成」にチェックを入れていますと選択中のレイヤーに定規が作成されます。
チェックを外していますとパース定規が入った「ラスターレイヤー」が新規で作成されます。
選択中のレイヤーにパース定規を作成した場合
選択中のレイヤーにパース定規を作成した場合、パース定規が作成されたレイヤーでしかパース定規の影響は受けません。
パース定規が入ったレイヤーを新規で作成した場合
パース定規が入ったレイヤーを新規で作成した場合はどのレイヤーを選択していてもパース定規の影響を受けます。
その為、パース定規のないレイヤーを選択していてもパース定規が表示されます。
パース定規の影響を受けたくない場合はパース定規の入ったレイヤーを非表示にするか、後述の『クリスタで定規を利用する為の条件』で説明する方法で定規をOFFにするか「特殊定規にスナップ」を無効にしましょう。
②クリスタのパース定規の設定・操作
クリスタにて、パース定規を出しただけではまだ不十分です。
特に「レイヤー」からパース定規を出した場合では下描きの絵とパース定規のガイド線が全く合っていません。
また、「ツール」から出した場合も他の下描きの部分とも合わせる必要がある為、微調整が必要になることもあります。
そこでパース定規の設定や操作を行います。
「オブジェクトツール」でパース定規を設定・操作しよう!
クリスタにてパース定規を出しましたら「オブジェクトツール」を選択し、パース定規のガイド線をどこでもいいのでタッチしましょう。
するとガイド線にさらにマークが表示されるようになります。
このマークをオブジェクトツールで操作することでパース定規のガイド線の配置や角度を変更・調整することができます。
それぞれのマークの意味を紹介します。
●アイレベルと垂直ガイド線
●消失点と消失点から伸びたガイド線
●その他
これらを操作して下描きの背景に合わせてパース定規のガイド線を配置していきます。
※ガイド線は消失点の位置を決める為に操作します。描画の際はガイド線以外の角度でも線を引くことは可能ですのでご安心を◎
この時、アイレベルと消失点などの繋がりがあるものはそれぞれの位置や角度を変更すると連動して変更・移動されますのでその辺も理解した上で操作を行いましょう。
後述しますが、設定でこの連動を止めることも可能です◎
ガイド線と下描きを合わせる時のコツ
ガイド線の「〇」を下描きに合わせてから「・」を動かすことで、「〇」を支点にしてガイド線の角度を変えることができ、下描きにガイド線を合わせやすくなります。
クリスタの「ツールプロパティ」でアイレベルを固定!
クリスタのオブジェクトツールでパース定規を選択している状態で「ツールプロパティ」を見ますと、その中に「アイレベルを固定」という項目があり、ここにチェックを入れることで他のガイド線を操作してもアイレベルは移動しないようになります。
アイレベルを始めに決めてからガイド線を操作したい場合は先にこの「アイレベルを固定」にチェックを入れましょう。
※「アイレベルを固定」にチェックが入っている状態でも「オブジェクトツール」でアイレベルを直接操作して移動させることは可能です。
③クリスタで定規を利用する為の条件
恐らくクリスタ初期設定のままであれば大丈夫ではないかなと思いますが、パース定規を含め、定規で描画ツールの動きを固定(スナップ)させる為には定規の配置だけでなく設定も必要になります。
レイヤーに表示されている定規のアイコンに×印が入っていない
定規ツールを設置したレイヤーには定規のアイコンが表示されます。
この定規のアイコンに「×印」が入っている場合は定規ツールの機能をOFFにしている状態です。
この場合は定規のアイコンをタッチするだけで×印を消して定規ツールの機能をONにすることができます。
※[Shift]を押しながら定規のアイコンをタッチするとOFFにすることができます。
「特殊定規にスナップ」にチェックが入っている
CLIP STUDIO PAINT画面上部から「表示」を選択しますと一覧の中に「特殊定規にスナップ」という項目があります。
この項目にチェックが入っていればパース定規のような「特殊定規」の機能を利用することができます。
この項目を選択することでチェックを入れる/外すの切り替えができるのです。
「ツールプロパティ」もしくは「サブツール詳細」内の「補正」の項目にある「スナップ可能」にチェックが入っている
クリスタの描画ツール、定規ツール共にそれぞれ「スナップ可能」の項目があります。
ここにチェックが入っていれば定規など、使用方向を固定する機能を利用することができるようになります。
「パース定規」自体のスナップがONになっている
パース定規をオブジェクトツールでタッチした際に「ツールプロパティ」や「サブツール詳細ウィンドウ」に表示される「スナップ」の項目のチェックを入れる・入れないでもパース定規のスナップのON・OFF設定ができます。
また、先述のようにオブジェクトツールでパース定規を選択した時に表示されるスナップアイコンをタッチすることでそのガイド線と繋がっている消失点へのスナップのON・OFFの切り替えが可能です。
クリスタではパース定規を作成した段階ではONになっていますので、「オブジェクトツール」でOFFにしない限りはそのままでパース定規を使用することができます。
④クリスタのパース定規の配置が終わったら背景を描いていこう!
クリスタのパース定規の配置や設定が完了しましたら、後は描画ツールで描いていくだけです。
普通に描いていくだけでパース定規のガイド線を基準にした真っ直ぐな線を描くことができます。
「ペンツール」の「入り抜き」など、各描画ツールの表現を出すことも可能です◎
斜め(消失点方向)の線を描く場合
パース定規が表示されている状態で、線を描く方向の先に消失点があればその消失点に向かう真っ直ぐな線が描けます。
※ガイド線上にしか描けないわけではないのでご安心を◎
消失点が複数ある場合は描画する位置・角度からどちらかに自動で判断されます。
水平・垂直に描く場合
パース定規は消失点方向だけでなく、(アイレベルに対して)水平方向・垂直方向にも真っ直ぐな線を引くことができます。
※パース定規の「アイレベルに水平な方向」「アイレベルに垂直な方向」へのスナップがONになっている場合
建物など、斜め方向と縦・横方向に線を引きたい場合もいちいちパース定規をOFFにする必要はないのです◎
クリスタの「パース定規ツール」でガイド線を増やす・減らす・設定する
パース定規の消失点やガイド線は移動ができますので1つの消失点を使い回しても問題ありませんが、クリスタではパース定規の消失点やガイド線を増やしたり減らしたり設定をすることができます。
「定規ツール」で「パース定規」を選択し、ツールプロパティの「処理内容」で各項目を選択することでパース定規の消失点やガイド線の編集ができます。
「消失点の追加」
2本のガイド線をドラッグして表示させると、その交点に消失点が作成されます。
※1本目のガイド線を表示させた後に右クリックすると1本目のガイド線をキャンセルすることができます。
2本目のガイド線をドラッグで作成する際、1本目とアイレベルとの交点でピタッと止める(スナップする)こともできます。
仮にアイレベル上ではない箇所に消失点を作成した場合でも、「オブジェクトツール」でその消失点をアイレベル上に移動させればピタッっとアイレベルの上で止めることができます。
このように消失点が2つ以上ある状態で描画する場合、ペンの動きは角度や方向によってどの消失点に合わせるかを自動で決めてくれます。
その為、消失点同士が近い場合は注意しましょう。
消失点同士が近く、思った方向とは違う方向にスナップしてしまう場合は先述のようにガイド線の周辺に表示されているマークを利用して余計なガイド線のスナップをOFFするのも1つの手ですね。
「消失点の削除」
パース定規の「消失点」もしくは消失点から伸びたガイド線をタッチすると消失点を消すことができます。
※最後の消失点を削除するとパース定規自体がなくなります。
「ガイドの追加」
ドラッグした点とその先にある1番近いパース定規の消失点を結ぶガイド線を作成します。
「ガイドの削除」
パース定規の消失点から伸びるガイド線にタッチすることでそのガイド線を消すことができます。
「消失点の固定」
パース定規の消失点もしくは消失点から伸びたガイド線にタッチすることで消失点を固定させることができます。
消失点を固定すると「オブジェクトツール」でも移動させることができなくなります。
※ガイド線の角度は変えることができます。
もう1度タッチすると固定状態を解除できます。
「無限遠にする」
パース定規のガイド線にタッチすると繋がっている消失点が消え、そのタッチしたガイド線の角度で平行線が引けるガイド線(無限遠)になります。
「無限遠」とは
普通のパースでは消失点で線が交差しますが、無限遠では決して交差しません(=平行線)。
立体感は表現したいが、遠近感は表現したくない場合などに利用します。
クリスタの定規はレイヤー間を移動できる
パース定規を含む、レイヤー上に配置されたクリスタの定規は別のレイヤーに移動させることができます。
方法は簡単です。
「レイヤーパレット」の定規のアイコンを移動させたいレイヤーにドラッグするだけです。
また、[Alt(Option)]を押しながらドラッグ移動することで定規をコピーすることもできます。
クリスタで定規を削除する方法
クリスタの定規を削除したい場合は定規のアイコンを「レイヤーパレット」上部にあるゴミ箱のマークにドラッグするか、定規のアイコンを選択した状態でゴミ箱のアイコンを選択し、表示されるウィンドウで「削除」を選択することで定規を削除することができます。
※定規のアイコン上で右クリック→「定規を削除」と選択することでも定規を消すことができます。
パース定規とオブジェクトツールの右クリックメニュー
クリスタではオブジェクトツールでパース定規を選択中に右クリック(※)することでメニューを開くことができ、ここからもパース定規の操作・設定が可能です。
※タブレット・スマホ版の場合は「長押し=右クリック」となります。
クリスタVer.2.0から魚眼パース定規も利用可能になった!
2023年3月14日にリリースされたクリスタVer.2.0より、「魚眼パース定規」が追加されました。
詳しくは以下の記事を参考にしていただければと思います。
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ):パース定規の「グリッド」で空間を把握しよう!
クリスタのパース定規を使うとパース面のグリッドを表示できる!
クリスタのパース定規をオブジェクトツールで選択した際、「ツールプロパティ」には「グリッド」の項目が表示されます。
「グリッド」の項目にある3つのボタンを押すことで各方向のグリッドを表示させることができます。
ちなみにグリッドとは格子状のガイド線のことを指します。
関連記事
●左のボタン
「1点透視図法」や「パース定規ツール」から作成したパースですと以下のようなグリッドが表示されます。
通常のグリッドと同じ感じですね。
「2点透視図法」「3点透視図法」で作成したパース定規ですと以下のような表示になります。
●中央のボタン
どの透視図法でも以下のような表示になります。
●右のボタン
どの透視図法でも以下のような表示になります。
また、このグリッド表示のボタンは複数選択することも可能です。
ちなみに「3点透視図法」ですとこんな感じです。
また、このグリッドの表示は最初に作成した消失点に対してのみです。
「パース定規ツール」で後から追加した消失点に対応したグリッドは表示されません。
クリスタのパース定規はグリッドのサイズ設定ができる
クリスタにて「ツールプロパティ」のグリッドの項目の左にある「+」を選択すると「グリッドサイズ」という項目が表示されます。
ここ数値を設定することでグリッドの間隔を変更させることができます。
クリスタパース定規のグリッド表示位置は変更できる
パース定規のグリッド表示位置はグリッドを表示している時だけ出てくるマークをドラッグ移動させることで変えることもできます。
クリスタパース定規のグリッド活用方法
グリッドに合わせて描画できる!
パース定規で表示したグリッドは、そのガイド線上に合わせて描画ツールで描画することができます。
規則的な線を描きたい時に利用できるでしょう。
空間を立体的に把握できる!
グリッドを直接利用しなくてもこのグリッドを利用する意味はあります。
それが「空間の把握」です。
このパース定規を使用して描こうとしている絵はどのような場所・空間であるのかが立体的に目で確認しやすくなります◎
パースを利用した背景(建物)を描く際のちょっとしたアドバイス
私自身もそこまで技術や知識があるわけではないですがその中でも知っていることを述べさせていただきます。
パースを利用した線がくっきりし過ぎて好まない場合
クリスタのパース定規のようなツールを利用して描いた線はくっきりなりがちです。
こういった線がお気に召さない場合はパース定規を下描きで使用して背景を描き、ペン入れはフリーハンドで描くというのも1つの手かと思います。
もしくはクリスタで制作した背景を印刷したものをトレース台を使用してアナログ原稿に描くといった方法もあるかと思います。
パースを利用して描いた面を等分割する方法
以下の記事にまてめてますので参考にしてみて下さい◎
向きがバラバラの建物をパースで描きたい時
建物や物が規則正しく並んでいる背景でしたらパース定規のガイド線も1回設定すればいいのですが、建物の向きがバラバラな場合はそれぞれに消失点を配置しましょう。
●建物などが規則正しく並んでいる背景
●建物の向きがバラバラな背景
その場合、消失点は同じアイレベル上に配置します。
パース面の建物の描き込み
角度にもよりますが、建物のパース面部分は自分が思っている以上に狭いです。
ですのでパース面の幅を長くとってしまうと正面から見た時にかなり横長な建物になってしまいます。
パース面の描き込みは幅を狭い目にすることを意識するとリアリティが増します。
段差の描き込みでより立体感を出す
例えば窓を描く場合、シンプルに描くと↓
↑このようになります。
よく見かける感じの絵ですが平面的ですね。
ここに「段差」を描き込むと↓
↑このようになります。
ただ線を二重にして「段差」を表現しただけですがこれだけでも立体感が出ますね◎
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)の「パース定規」紹介まとめ
クリスタのパース定規の紹介は以上になります。
「定規がずれるのを気にしなくていい」、「原稿からかなり離れた所にも消失点を配置できる」という点がかなり便利ですね。
また、クリスタの「ベクターレイヤー」で描けばはみ出した線もすぐ消せますし、修正も気軽にできます◎
背景描画の効率化、時間短縮をしたい場合はクリスタの使用も検討してみて下さい◎
それではここまで閲覧ありがとうございました!
お疲れ様でした!!
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