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皆さん、本日も閲覧ありがとうございます。
山本電卓と申します。
今回はモノクロ・アナログ漫画において、黒と白以外の色の表現が可能となるトーンの貼り方・使い方を紹介させていただきます。
こういったものですね↓
漫画制作において必ず使わなければならないものではありませんが、色表現の幅も広がり、大多数の漫画家さんが使用していますのでぜひ覚えていただければなと思います。
それではよろしくお願いいたします
( `・∀・´)ノ!
漫画制作用画材「トーン」の基礎知識
トーンの種類
「トーン」と一言でいっても様々な種類があります。
1番有名で使用率も高いのが「網点トーン」ですね。点や模様が規則的に並んだものです。
その他にも「万線トーン」「グラデーショントーン」や「砂目トーン」「柄パターントーン」に「効果トーン」「背景トーン」などがあります。
網点・万線トーンの種類・表示の見方
上記のように様々な種類があるトーンですが、網点や万線トーンにも細かい種類があります。
それが「線数」と「濃度」です。
線数
1インチ(2.54 cm)の幅にある点または線の数。
数値が大きいほど点や線は細かくなります。
濃度
一定の面積で点や線が占める割合。
数値が大きいほど濃く黒に近くなります。
市販されているトーンでは線数の単位をL(ライン)、濃度の単位を%で表示してあります。
また、例えば「60L・50%」のトーンを「〇ー65」「65番」と表記している場合もあります。
一般的なトーン線数
一般的には60~65の線数のトーンが多く使われています。
なぜアナログ漫画の色表現としてトーンを使用するのか
アナログ漫画において、なぜグレーの濃淡ではなくトーンで色表現をするのかといいますと印刷した時の表示がきれいになるからです。
逆にWEB上にデジタルデータとして掲載する場合はトーンが潰れて表示される可能性があるのでグレースケール表現にした方がきれいに表示されます。
【補足】トーンの名前に関して
トーンといえば「スクリーントーン」という言葉を思い浮かべる方も多いと思います。
実はこの「スクリーントーン」という名前はレトラセット社の商標なのです。
そのため、市販されているトーンは「〇〇パターン」や「〇〇スクリーン」などトーンという言葉すら入っていない場合も多いです。
漫画用画材「トーン」の貼り方
トーンの袋の開け方(普通に開けない方がいい!)
市販されているトーンは画像のように粘着テープをはがすように開けることができます。
しかし!
普通に開けてしまうと粘着部分にトーンが張り付いてしまう場合があります。
こういった問題を回避するため、トーンの袋はサイドをカッターナイフで切り、横から取り出すのが安全でしょう。
※トーンを傷つけないよう注意しましょう。
また、通常の開け口よりも大きくなるので出し入れもしやすくなります。
トーンの貼り方手順
トーンを貼りたい場所に合わせて大きめに切り込みを入れる
トーンは台紙が付いてある状態でも原稿を重ねると透かして見ることができます。
この状態でトーンを貼りたい部分より少し大きめにカッターナイフなどで切り込みを入れましょう。
原稿とトーンを重ねることでトーンを貼る範囲を確認しながら切り込みを入れることができます。
力を入れ過ぎると台紙ごと切れてしまうので注意しましょう。
また、網点トーンの場合は原稿とトーンがだいたい同じ向きになるように重ねましょう。
※キッチリ同じじゃなくても大丈夫です。
後述しますが、網点トーンには「角度」があるため、同じ向きで揃える方が見栄えが良くなります。
トーンを台紙からはがして原稿に貼り付ける
トーンに切り込みを入れましたらカッターナイフなどを使ってゆっくり台紙からはがしましょう。
手ではがすとトーンが汚れてしまう可能性がありますからね。
また、トーンは切り込みが見えにくいので切り込みが繋がってなかった場合に思いがけない方向に切れてしまうこともありますので丁寧に確認しながらはがすとよいでしょう。
トーンを台紙からはがしましたら原稿用紙のトーンを貼りたい部分にトーンが全て収まるように貼り、しっかり押さえつけてずれないように定着させましょう。
不要な部分のトーンを切り取る
トーンを原稿に貼りましたら、絵に沿って不要な部分をカッターナイフなどで丁寧に切り取っていきましょう。
線画の時と同様に原稿を回転させながら切りやすい位置・方向で切り取っていきます。
また、一気に不要な部分を全部切り取る必要はありません。部分的に集中力がもつ範囲で作業しましょう。
※切り取ったトーンの切れ端は廃棄してよいです。大き目に切り取れて別の場所で使えそうでしたら台紙に貼り戻すという場合もあるでしょう。
ここでもカッターナイフで切る力を入れ過ぎると原稿用紙を切ってしまいますのでそちらも注意しましょう。
トーンの切れ端を取る際、角の部分などはちゃんと切れていなくて繋がったままだったりすることもありますのでこちらも慎重に丁寧に作業をしましょう。
ちなみに、原稿に付いた多少の切り込み跡は上から押さえつけたり修正液で容易に消すことができます。
トーンを定着させてトーン貼り完了!
トーンの不要な部分をカットしましたら上から紙を当て、ヘラなどの道具を使って押さえつけましょう
こうすることでトーンが原稿用紙にさらに定着し、はがれにくくなります。
これでトーン貼り作業は完了です◎
網点トーンは「角度」も意識して貼ろう!
網点トーンの点の並びには「角度」があります。
※45%が一般的です。
先述の通り、トーンは原稿と同じ向きが1番きれいに見えますのでその向きで揃えて貼るといいでしょう。
同じトーンでも角度が違うと並んだ時に違和感が出ることがあります。
トーンは削ることができる!
実はトーンはカッターナイフや砂消しゴムなどで削ることができるのです。
このことを知っているだけでトーンの表現の幅が大きく広がります。
カッターナイフでトーンを削る
トーンを「面」で削る
カッターナイフの側面をトーンに当ててこすりますとトーンの表示部分をきれいに削り取ることができます。
※トーンの削りカスも出ますのでしっかり掃除しましょう。
これで何ができるかと言いますと、目の中の光の部分などトーンの一部を白く表現する場合にその部分を削るだけで表現できます。
切り取るより簡単にできますね。
また、小さい面積にトーンを貼る時にも利用できます。
トーンはシールのように裏側の粘着部分を原稿用紙に貼るのですが、この面積が小さくなれば当然粘着力も落ちてしまい、せっかく貼ったのに何かの拍子にはがれてしまうということが起きてしまいます。
そこで本来トーンを表示させたい部分より大きくトーンを貼り、不要な部分を削ることで小さい面積でも粘着力を落とさずにトーンを定着させることができるのです。
ただし不要な部分を削り取る使い方の場合、周囲が削りカスで少し汚れてしまう場合もあります。
そのため、印刷時にも写りにくいメンディングテープを使って小さい面積のトーンを貼るといった方法もあります。
↑画像でもテープのフチがほとんど見えないのが分かりますね。
トーンを「線」で削る
カッターナイフの先を使用して削ることでトーン上に細い白線を描くことができます。
そのまま白い線を表現してもいいですし、細かく削ることでカケアミのような表現をすることもできますね。
また、集中線やトーンフラッシュなどのように直線の削りを入れたい場合は定規を利用するといいでしょう。
その際には一般的な定規ではなく、金属の保護版が付いている定規を使用しましょう。
砂消しゴムでトーンを削る
砂消しゴムでトーンを削る場合はトーンの上からこするだけで簡単に削ることができます。
これによってトーンにぼかし効果を与えることができるようになります。
※(砂消しゴムより時間はかかりますが)トーンは普通の消しゴムでも表示を薄くすることができます。
トーンは重ねることもできる!
例えばトーンを貼っている部分に影を表現したい場合など、トーンの上から別のトーンを貼るといったこともできます。
ただし、その場合には注意があります。
トーンの線数が同じものを同じ角度で重ねよう!
トーンを重ねる場合はそれぞれの線数が同じトーンを重ねましょう。また、重ねる時はトーンの網点の角度を同じにしましょう。
線数や角度が異なるトーン同士を重ねますと「モアレ」という模様が出てしまいます。
トーンの網点の位置を意識しよう!
トーン同士の線数や角度を揃えて重ねたとしても、トーンの網点同士が同じ位置に重なっては意味がありません。
どちらのトーンの網点もしっかり見える位置で重ねましょう。
漫画におけるトーンの使用例
漫画の表現に限りはなく、トーンだけでも様々な表現方法があります。
その中の一部で且つシンプルな使い方ですが、使用例を紹介させていただきます。
●髪や服などのキャラクターの一部
モノクロ漫画はインクだけでは黒と白しか表現できませんので、特に髪の毛は黒髪以外は全て白で表現することになってしまいがちです。
トーンを貼って髪の色味を分けることで一目でどのキャラかを分かりやすくできます。
服も同様にトーンの濃度や柄パターントーンで簡単に差別化ができますね。
●描き文字
漫画の表現として欠かせない描き文字ですが、文字の周囲が暗いと黒い描き文字では文字が目立たない時があります。(怖いシーンなど状況によっては黒い方がいい場合もありますが)
描き文字の中にトーンを貼ることでシーンの状況に応じての表現ができるようになります。
また、1コマに複数の描き文字がある場合にもトーンを貼ることで差別化できますね。
●コマ内の余白
キャラだけが描かれているコマにおいて、そのままでは余白部分が気になる場合があります。
そこでこの余白部分にトーンを貼ることで単調なコマになることを防ぐことができます。
また、キャラクターの感情や状況に応じて濃度を変更したり、
全体ではなく一部にトーンを貼るという表現もありますね。
●奥行
コマの中で手前にある人やものにトーンを貼ることで奥行を表現することができます。
●過去
漫画ではコマの外側を黒く塗ることで過去シーンを表現する方法がありますが、1コマだけの過去シーンを表現するためにコマ全体にトーンを貼るという方法があります。
●自然風景
黒と白だけで自然風景を表現するにはそれなりの手間が必要になります。
そこでトーンを使用すれば比較的簡単に自然風景を表現することができますね。
また、背景を「影の形」にトーンを切り取ればそれだけで場所を表現することもできます。
以下の画像ではビルの形にトーンを貼ることで簡易的に街を表現しています。
トーンを貼って漫画の表現を広めよう!
漫画用画材として有名なトーンは注意点も多いですが、使用すればその効果は大きいです。
この記事で紹介したことは基本的なことですので工夫をすればもっと凄い表現をすることができるでしょう。
モノクロ漫画をアナログで描く際にはトーンの効果を活用してみてください◎
それではここまで閲覧ありがとうございました!
お疲れ様でした!!
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【追伸】
漫画制作をアナログからデジタルに移行される際はイラスト・漫画制作ソフトCLIP STUDIO PAINT(クリップスタジオペイント)の導入も検討してみてください。
トーンを簡単に貼る機能も搭載されていますよ◎
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